俺の妹が硫黄島からの手紙シリ

マジメな人間に、神は少なくともクソくらいのものは与えてくれる. 第82回アカデミー賞作品賞候補にもなったこの作品はコーエン好きにとっては 『トゥルー・グリット』 よりも楽しめる、ブラックなテイストたっぷりな巻き込まれ型雪だるま式悲喜劇. これぞコーエン! と唸りましたが、ただ世間的には評価が低いようですね. まず終身在職申請の結果を待つユダヤ人大学教授ラリーに降りかかる不幸の数々がブラックジョークたっぷりで面白すぎます. 1、弟アーサーは毎日浴室に閉じこもって膿を搾り出してる 2、自分の名前で通信販売に手を出していた息子ダニーは友人にマリファナ代が払えず毎日走って帰ってくる 3、隣人とは敷地の境界線でトラブる 4、落第点を出した生徒には黙って賄賂を置いていかれた挙句に父親から名誉毀損で訴えると脅される 5、妻ジュディスからは離婚を切り出される 6、その妻の再婚相手であるあのサイ・エイブルマンからの提案でモーテル暮らしをさせられた挙句にサイの葬式費用まで出すハメになる 7、アーサーがギャンブルや男娼売春で逮捕される 8、ユダヤ教の高名なラビに悩みを相談しても歯にヘブライ文字が彫られていただけの話をされる 9、境界線のことで相談していた法律関係者が目の前で心臓発作で倒れる と、まぁ不幸が続く続く. ただこの映画はそんな不幸続きの男の話ではなく、OPで語られた「とある寓話」の教えに沿って見ていくと、これが結構面白いんですよね. つまりOPの寓話の教えは「狭い世界での思い込みの危険性」であり、雪降る夜に目の前にいるラビを悪霊だと思い込めば悪霊にしか見えないから刺してしまうのと同じように、ユダヤコミニティの中で、しかもメガネという限られた視野の中で「自分は不幸だ」と思い込めば、人はどんどん不幸になっていく. 逆に神は自分にクソくらいのものは与えてくれているという気持ちになれば、そんな不幸の負のループから簡単に抜け出せる. この映画で描いているのはそんな単純な気持ちの持ち様. それを「マジメすぎると人生損をする」かのようにブラックジョークで味付けしながら見せてくれるのがコーエン兄弟作品の魅力なんですよね. ですからあのラストもコーエンらしいブチ切り方でいい感じなんです. 離婚を回避できただけでなく終身在職もほぼ決まり、マジメに生きてきたことが報われたラリーが弁護士費用のため賄賂落第生の誘惑に乗ればあの電話が不幸の電話になるかも知れない. 成人儀式を経てラジオも返してもらいマジメに生きるようと思ったばかりのダニーが竜巻にビビる友人を見てマリファナ代を払うのを止めようと思うと、あの竜巻に巻き込まれるかも知れない. 彼らがどうなるかは全て観客の想像に任せたまま映画を終える. その唐突さが見事な余韻を残してくれましたよ. てな訳でコーエン好き以外は恐らく楽しめないであろうこの映画. 2009年度のオスカーノミネート作品なのに、公開時期が今頃になった理由も何となく分かりますわ. 深夜らじお@の映画館 も昔はシリアスマンでした. ※お知らせとお願い ■ 【元町映画館】 に行こう. 2月11日より、 カーテン魂 でTVアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のカーテンが受注販売されている. 販売されているのは、高坂桐乃柄、黒猫柄、桐乃&黒猫柄の3種で、いずれも通常生地と遮光生地の2タイプが用意されている. イラストは片面のみにデザインされており、遮光タイプであれば絵柄が透けることはない. なお、このカーテンを購入するとカーテンの止め具・タッセルを同時購入することができる. 高坂桐乃柄 黒猫柄 桐乃&黒猫柄 こちらがタッセルのデザイン. 価格は1,050円(税込). ダウンジャケット メンズ 日本映画界では作れない、しかし日本が作らなければならなかった映画であり、クリント・イーストウッド監督を始めとするアメリカ人がこの映画を作ったことに感服してしまった素晴らしい作品でした. 改めて硫黄島の戦いのことを何も知らない自分を恥じるとともに、現在この平和な日本に生きる全ての日本人はこの映画を見る義務があるとまで思えるほどでした. アメリカが5日で落せると予想した硫黄島を36日間も守り抜いた栗林中将以下の2万人の日本兵. 飲料も食料も弾薬も医薬品も、そして援軍も希望もないままひたすら戦い続けた彼らもまた『父親たちの星条旗』のアメリカ兵同様に、愛する家族や戦友のために戦っただけなんですよね. 妻に会いたいだけの西郷、犬を殺すことが平和に繋がるとは思えず悩み苦しむ元憲兵の清水、ただ単に軍人として死にたいだけの伊藤中尉、かつて自分が栄光を掴んだ国と戦わなければならないもどかしさを持った西中佐と栗林中将. みんな戦争がしたいのではなく、自分の正義を貫きたいのに貫けず苦しんでいるだけ. この映画を見ると『父親たちの星条旗』と同様に、いやそれ以上に「戦争の意義」と「正義」が全くわからなくなります. 先日もこの『硫黄島からの手紙』がナショナル・ボード・オブ・レビューの最優秀作品賞を受賞したというニュースが流れましたが、この作品をアメリカが認めたということはすごく意義のあることだと思います. アメリカ兵の捕虜虐殺、「墓穴を掘る」「鬼畜米英」などの日本語独特の言い回し、介抱した敵兵の母の愛を記した手紙など観客に深く考えさせるシーンが多くある映画であり、今までにあるようでなかった新しい映画だと思います. またキムタクなど比にならないほど二宮クンの演技も素晴らしく、製作陣の硫黄島に対する熱心な勉強ぶりも大いに感じられるこの映画. とにかく感想が語りにくい作品ですのでレビューもうまくは書けませんが、このお正月映画の中ではダントツで出来の良さが光る作品なので是が非でもオススメします. 深夜らじお@の映画館 は映画『硫黄島からの手紙』を激しく応援します.